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冴えない彼女の育てかた♭ 第6話「 雪に埋もれたマスターアップ」感想・考察 何とも言えないこのもどかしさ。

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冴えない彼女の育てかた♭ #6 雪に埋もれたマスターアップ

第6話の感想と考察記事です。今回はちょっと感想と考察の両方で、語りたがりが発動してしまいました。

前話の記事はこちら。

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【caution!】感想・考察記事です。ネタバレが含まれます。なお本記事はアニメ準拠につき、アニメより先の原作部分のネタバレはしない方向です。筆者のミスにより悪意無きネタバレが発生してしまう可能性もあります。ご容赦ください。

はじめに感想 驚きと残念

これにて原作6巻の内容が終了しました。お疲れ様です。

通常3話ごとに1巻分を消費してきましたが、特別措置ということで英梨々メイン回は2話構成でした(涙)。

はじめに述べておきますが、第6話の感想は「驚きと残念」です。自分でも神回間違いなしだと思っていました。いや実際に超面白かったのです。それでも苦味の残る回だった。

まずはその理由を述べてから、考察面に移りますね。

2話構成の弊害 冴えカノ♭の構成予想

やはり2話は無茶でした。これが一番の原因です。なぜこのような構成になったのだろう。疑問だらけです。

「ここから原作部分に触れてしまいます。極軽度のネタバレ注意です」

英梨々と詩羽の出会いを描いた、第1話が外伝のGSでした(読まなくては本編が理解できない、実質的に本編です)。

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英梨々と詩羽の物語。まだ終わっていないのです。あれは前編でした、まだ後編に1話必要です。つまりは残すはあと「7巻=3話分」+「GS後編=1話分」「謎の2話あまり」になります。あれ、なんか2話余っている。7巻に4話つぎ込む可能性もありますね。

なんで英梨々回の6巻を2話構成にしたのか。あまりにも変則的なシリーズ構成なので予想が付きません。熱心な冴えカノファンの方々は「劇場版・第三期」の可能性を言及されていたりしてます。ほらこの予告はそういう意味に聞こえませんか。


TVアニメ『冴えない彼女の育てかた♭』#2「本気で本当な分岐点」予告映像

原作ファンにサプライズ的な楽しみを用意しているのも、さすがと思います。でも、やっぱり2話構成は無茶でしたよ。

アニメは1話20分しかありません。OPやEDを省略しても23分です。2分はCMに取られています。原作ラノベは大体250P弱くらいですね。それをアニメ3話の一時間で描きます。それでもアニメではカットされる部分があるのです。もうわかりますね。今回は40分でした。

分かり切っていた不安でも、何かありそう

この冴えカノ記事でこんなこと言っていました。

この作品に対する唯一の不安が、シリアスとコミカル。そのバランス。 冴えない彼女の育てかたは、シリアスとコミカルが同居している。その両立が面白さであり、ダメなところでもある。

冴えない彼女の育てかた♭ 第2話「本気で本当な分岐点」 感想 続・詩羽ルート開始! - アニメの歩きかた

そしてもう一つ。とっても皮肉な感じになってしまった。

メディアの違いを理解せよ。

冴えない彼女の育てかた♭ 第3話「初稿と二稿と大長考」感想 思い出せ、メディアの違いを理解せよ、と - アニメの歩きかた

第6話。いまいち軽かったです。"中途半端"です。シリアスとコミカルのバランスを取ってしまったから。どっちつかずな方向性なんです。

描写不足=尺不足という上で述べた構成の問題が、最大の原因なのですが、演出の問題でもありました。尺が足りないことから生じる軽さを演出で昇華させるのは難しいです。

この作品のキャラは長台詞ですね。長台詞のやり取りが冴えカノの面白いところですが、尺がないので無理やり感が強く、言葉の重みがなくなります。視聴者には伝わりません。大切なやり取りがいくつもあったはずです。

アニメとして多くの人に見てもらうには必要なことで、この先を考えた構成であるのも理解できます。それでも、とっても大切な出来事が起こる巻なので、もっと丁寧にするべきだった。OPかEDをカットして、長台詞も短縮してしまうほどの策が取れなかったのか。後付けで説明を補強したり回想するくらいなら、今を大切にしてほしかった。

というのが僕の素直な感想です。

面白いのはもうわかりきっているから、それ以上の「すごい」を求めてしまうのでしょうね。

ただ、何かこの構成には明確な意図があったら……僕が上で述べたことはナンセンス。結局は手のひらで踊らされているだけかもしれない。そうであってほしいと思う心があります。あるだろう、僕は祈っている。

考察のはじまり

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©2017 丸戸史明深崎暮人KADOKAWA ファンタジア文庫刊/冴えない♭な製作委員会

ここから考察面に移ります。良くわからなかった所の理解につながると嬉しいです。

以下の疑問などが解けるようになっています。

  • なぜマスターアップを諦めた?
  • 英梨々はなぜクオリティにこだわり続ける?
  • 倫也と英梨々の関係性
  • 加藤の怒り

主役は英梨々と倫也。この二人の関係が冴えカノの軸であり、絶対に避けては通れない道です。

英梨々の違和感

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冴えない彼女の育てかた♭ #6 雪に埋もれたマスターアップ

この物語の最重要人物。澤村スペンサー英梨々から始めます。以下スペンサー省略。

クオリティにこだわるあまり、空回りをする英梨々。これって何かおかしいですね。柏木エリは売れ線狙いで、エロも辞さない商業同人作家。一度も落としたことがない。速くて上手くて安定している。

それでも同人ゲーム制作では、異常にこだわっている。作風を変えて、自分の殻を破ろうとしている。

いつもと違うのはなぜでしょう。この違和感を辿るために。

「英梨々はなぜ絵を描く」

毎度おなじみのモチベーション。そもそも論になります。

あんたの一番になってやる

”物語は続いている”冴えカノはこれが大事です。「澤村英梨々の物語」として切り分けて考えましょう。それは一期を見直すこと、それで全部わかります。

一期 #9 「八年ぶりの個別ルート」が詳しい。

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冴えない彼女の育てかた #9 八年ぶりの個別ルート

「あたし一生懸命頑張った。外では仮面かぶって家で死に物狂いで頑張った。あたし達を引き裂いたあの連中を見返したくて、昔みたいに戻りたくてやっとここまで来たのに」*1

小学生の頃のオタクを理由にしたイジメで、二人は仲たがいしてしまった。オタクが認められないから、隠れオタクになって、そして作り手に回った。例えると「漫画が大好きな"オタク"より、漫画が大好きな"漫画家"なら世間から認められる」こうなりますね。

しかし肝心の倫也には、"凄くない"って認めてもらえない。それでは何のために頑張ってきたのかわからない。報われない。

こういった背景から、「あんたの一番になってやる」宣言がありました。

倫也が認める凄いクリエイターになって、彼の一番になる。これが彼女のモチベーションです。

だから、あんなに頑張っていたのです。でも、肝心の倫也は……。

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冴えない彼女の育てかた♭ #5 締め切りが先か、覚醒が先か

安芸倫也の本音

「お前は、お前の……やりたいようにやればいいよ」

英梨々に凄くなって欲しくない。ずっと凄くない英梨々で居て欲しかった。

それは遠くへ行ってしまうと思うから。彼は詩羽との間にある"距離"を自覚しているから。英梨々が凄いクリエイターになってしまうことへ抵抗があった。それを言葉にできなくて、突き放してしまった。英梨々の勝手にした。

孤独に頑張ったせいで英梨々は倒れてしまう。それに対してこんなことをいう。

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冴えない彼女の育てかた♭ #6 雪に埋もれたマスターアップ

「倫也君はね、本当は今ここで那須高原に向かっている場合じゃなかった。それは他の誰かに任せて、自宅でマスターアップまで粘るべきだった」
「そんな身勝手で都合のいいこと。他のメンバーに任せられるわけないだろ」

ここに彼の本音が見えます。いつも自分は身勝手で都合のいいことばかりやってきた。いろんな人を巻き込んでおいて、こと英梨々に関してだけは、倫也だけで何とかしようとする。この傲慢さ、非常に強いエゴです。

なぜマスターアップを諦めたのか。詩羽は何度も英梨々が危険であると忠告した。敵である伊織には塩を送られ、マスターアップの希望は潰えてなかった。加藤がなんどもなんども英梨々を心配して、何かあったら連絡するよう。那須高原でも駆けつけると言っていたのに、みんなのゲーム制作を「俺と英梨々の問題」で諦めた。

その理由はシンプル。

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冴えない彼女の育てかた♭ #6 雪に埋もれたマスターアップ

「ゲームより英梨々が大切」

彼にとっては英梨々の方が重みがあった。どちらも大切だけど、何より英梨々だった。本当にそれだけです。

誰も本当の彼を知らない

ここまで来てやっと安芸倫也の価値観が見えてきます。

彼にとっては彼女たちとゲーム制作は、"同じもの"になると考える。ゲーム制作をするからヒロインが大切だし、ヒロインと仲良くするためにゲーム制作をしている。どちらとも言えます。実際に彼女たち個人を救済しながらゲーム制作を進めてきました。

ただ英梨々だけはこの方式が通じない。

「僕にはね倫也君。君がただ柏木エリを、いや澤村英梨々を独占したがっている様にしか思えないよ」

  • 澤村英梨々≠ゲーム制作

  • 英梨々>ゲーム制作

  • 英梨々>他ヒロイン

こんな結論に至ってしまう。

誰も知らなかった安芸倫也の心。当の本人さえも自分の中で英梨々がこれまで重要であることに、戸惑っていた。矛盾する心に彼は困っていた。こんなふざけた事実でした。

正妻戦争の終結?8年ぶりの仲直り

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冴えない彼女の育てかた♭ #6 雪に埋もれたマスターアップ

英梨々の上げたグランドルート7枚の絵。それを見て倫也は認めざるを得なかった。英梨々が凄さを手に入れて、誰よりも凄いクリエイターになってしまったことを。

マスターアップを諦めたものの、英梨々は念願の「倫也の一番」になれました。

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冴えない彼女の育てかた♭ #6 雪に埋もれたマスターアップ

「あたし謝りたいの。だってクオリティにこだわるあまりに締め切りを破ってしまったのは、あたしの罪で、あたしの責任で、そしてあたしの誇りだから。倫也もごめんね。……ごめんね」

そしてお互いに抱いていたわだかまりも解消でき、英梨々のごめんねで12月25日。二人は8年ぶりの仲直りをしました。

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冴えない彼女の育てかた♭ #6 雪に埋もれたマスターアップ

おめでとう英梨々。これにて倫也の正妻を争う戦いも終了しました。過去の因縁が解けた幼馴染はこれ勝利の意味。メンバーに対しての謝罪は勝利宣言であります(原作は英梨々が一人一人に土下座外交をして許してもらった)。この長い物語にも終わりが見え、あとはエピローグだけ……。

…………。

……。

おわりに 逆襲の加藤

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冴えない彼女の育てかた♭ #6 雪に埋もれたマスターアップ

「わたしは安芸くんが正しいことをしたと思ってる。でも、許せない。まだ消化しきれない」

あれよあれよと冬コミは終了しました。品薄商法による口コミの一人歩きでblessing softwareのゲーム「cherry blessing~巡る恵みの物語~」は伝説となりました。これにて英梨々endで終了!――。

そんな都合よく話は終わりません。ここでついに最大の爆弾。加藤恵の同線に火がついてしまった。メインヒロインは伊達じゃない。ここから加藤恵のターンです。

加藤の怒り。これはすべて彼女の口から語られているそのままです。嘘偽りない初めての強い感情を目にします。 多くは語りません。

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冴えない彼女の育てかた♭ #6 雪に埋もれたマスターアップ

物語は続いている。

まだまだ冴えカノは終わらない。

*1:アニメでは英梨々の一人称が"わたし"に聞こえます